高圧力発生装置として有名なダイヤモンドアンビルセル(通称、DAC)は、非常にコンパクトな装置でありながら、非常に高い圧力を発生することができます。また、測定用の試料は数マイクログラムから数十マイクログラムと少量で十分である点も魅力的で、構造解析実験は放射光をもちいることによって現在では非常に高精度の測定が可能になってきています。しかし、物性測定の基礎的物理測定である電気抵抗測定・磁気測定・熱測定は、非常に難しく専門的な知識とノウハウを必要とします。我々はこの中でも、特にSQUID(Superconducting Quantum Interference Device)を用いた磁気測定において、より高圧力下でより高精度の実験ができるように、装置・システム開発を行っています。
具体的には、
1. 高磁場・広温度領域におけるGPa級圧力場での磁気測定
QD社製のSQUID磁束形MPMSに超小型のDACを挿入し、
-5Tesla 〜 +5Tesla, 1.8K 〜 400K, Max. 30GPa
(実績)
という複合特殊環境下での測定が可能となっています。
このシステムでは、強磁性体や超伝導体のような強シグナルの物質の
測定に適した測定システムです。
信号処理技術を駆使し、独自の方法による精度向上を目指しています。
2 自作のヘリウム3冷凍機にDC-SQUIDを搭載し、DACの試料の近くに検出コイルを配置
し、コイルのfilling factorの良い状況下で、測定できるようなシステム作りを行っています。
冷凍機の関係で、高磁場下での測定はまだ、可能になっておりませんが、地球磁場(
0.5G)でも反強磁性体の測定が可能になっており、非常に微弱な信号検出に向いたシス
テムとなっています。また、現在では、VCM方式によるより高精度の測定が可能になりつつあり、
0.3 Hz – 3 kHzの周波数領域での交流測定もできるようになっています 。
0.5G, 0.6K 〜 40K, Max. 10GPa (実績), 測定感度10-8〜10-9emu
その他に、ピストンシリンダー型圧力セルとQD社製MPMSを用いて、1.7GPaまでの精密測定磁気測定ができるようなシステムを確立しており、現在では直流測定だけではなく、交流磁化率も高周波数領域で測定できる独自の解析プログラムを開発し、いろいろなタイプの磁気測定に対応できるようなシステム作りを行っています。